会員限定アプリでスペシャル動画を配信したい、社内限定サイトで研修用動画を流したいなど、ビジネスで動画配信を活用する動きが拡がっています。特にコロナ下の状況において、リモートワークが増えている中、社外秘の動画などを配信したい、というニーズも高まってきています。それに伴い高まってきているのが、配信する動画のセキュリティへのニーズです。独自コンテンツが勝手にダウンロードされたり、動画投稿サイトに無断転載されたりしたら困りものですよね。そんなときに導入を検討すべきなのがDRMです。

DRMとは

DRMとはDigital Rights Managementの略で、デジタルコンテンツの著作権管理技術の総称です。「DRM=コンテンツの暗号化規格」と誤解されることも多いですが、”管理”という名の通り、一般にDRMは復号キーを秘匿してユーザーの利用回数に制限をかけたり、別のデバイスにコピーを防止するなどの機能も持ち合わせています。

この記事では動画のDRMに関して説明していきます。

どんなDRMを選べばよいの?

一口にDRMと言っても古今東西、様々な方式が存在します。動画配信の分野では、2011年にハリウッドのメジャースタジオや大手メーカー、IT企業が参加した業界団体DECE(Digital Entertainment Content Ecosystem)が作成した標準仕様UltraVioletに採用されたDRMとして以下のようなものがあります。

これらのDRMに加え、DECEに加盟していないAppleの提供するFairPlay Streamingが主な選択肢として考えられます。特にハリウッドのメジャースタジオから映画やTVドラマの利用許諾を得るには、ここで挙げたDRMの採用を求められることが多いでしょう。

7つも選択肢があるとどれを選んでよいか分からないと思われるかもしれませんが、安心してください。PCブラウザやスマートデバイスへの対応状況をまとめると、下の表のようにDRMは4つに絞られます。

DRM 提供 PCブラウザ[1] スマートデバイス/スマートTV[2]
PlayReady Microsoft Edge(Chromium) Android TV, Amazon Fire TV
Widevine Google Chrome 35+, FireFox 47+ Android 4.4+[3], Android TV, Amazon Fire TV
FairPlay Streaming (FPS) Apple Safari 8+ iOS 6+, Apple TV
PrimeTime Adobe Flashプラグインでの提供

PCブラウザではFlashやSilverlightなどのNPAPIの無効化とHTML5の普及が進み、スマートデバイスではOSネイティブのDRMの実装が進んだため、PlayReady、Widevine、FairPlay Streamingの3つに対応することで、PCブラウザとスマートデバイスへのサービス提供が実現できます。

ネクストスケープはMicrosoftのPlayReadyテクノロジー・パートナーであり[4]、Wideivine認定パートナー(CWIP)の資格も保有しています[5]。FairPlay Streamingにはパートナーシップ制度はありませんが、複数の動画配信サービスへのパッケージング、ライセンスサーバーのソリューション提供の実績がございます。弊社のご提供するDRMソリューションについて詳しく知りたい方は製品ページをぜひご覧ください。



  1. WindowsとMacのブラウザについてのみ記述し、LinuxやChromium、スマートデバイスのブラウザでの対応状況は省略しています。[]
  2. スマートデバイスは、ネイティブアプリでの提供を想定しています。[]
  3. 厳密にはAndroid 4.3から対応していますが、Widevineの機能は一部のデバイスしか利用できません。[]
  4. PlayReadyは”License Service & System Integration”, “Encoding & Packaging Provider”としてパートナー登録しています。参照: https://www.microsoft.com/playready/partners/[]
  5. WidevineはWidevine Modular DRMの認定を取得しています。参照:http://www.widevine.com/cwip/integrators.html[]